ドゥームメタルのライブに行った
Doom metal ってどんな音楽?
数年前になりますが、バンドをやっている友人に会ったときのこと。同世代で、まだバンドをしている仲間に会えると嬉しくなります。私も細々とブラジル音楽のバンドをやっている端くれなので。
「どんなバンドやってるん?」
「ドゥームメタル。」
「ドゥームメタル!それってどんな音楽?」
「ブラックサバスをもっと重くしたような感じ。」
なんだか激しそうな音楽だなー。私の場合、年月の波に流されてソフトな方に流れていきましたが、この友人は世間の荒波にも負けず、尖った音楽を続けているようです。どんなバンドなんだろう、ライブを見てみたい、とずっと思っていたところ、ある日ついに見に行くことができました。
ライブハウスへゴー!
大阪アメ村のライブハウスへ。この歳で、行ったことのないアメ村のライブハウスに一人で行くのは結構勇気がいります。「なんだこのオバチャン?保護者か?」とか思われないだろうか、とか色々心配しながら現地に到着。ライブハウスは地下にありました。恐る恐る入って行くと、地下のライブハウスが似合う若者が、ビール片手にライブが始まるのを待っています。ビールどこで頼めるんだろう。でもあんまりキョロキョロも出来ません。私が若干その場で浮いているのは確かです。
爆音ライブが始まった!
いよいよ演奏が始まりました。爆音です。なるほどこれがドゥームメタルなのか!低くて重いです。前の方ではアルコールの入ったお客さんがゆらゆら揺れています。ドゥームメタルの好きな常連さんっぽいです。私は後ろの方で壁にはりついていました。
この状況、私の想像で味付けするとこんな感じ。
これは闇の爆音祈祷集会。お客さんは信者。時折、信者の祈りが暴走して、暴れ出す。ビリヤードの玉のように、信者が弾かれてこちらにとんでくる。(おっとビールがこぼれてしまう。)これ以上暴徒化するとビールがこぼれるだけでは済まない。私は危険を察知して、部屋の角に避難する。このバンドが演奏を終わるまでは、この隅に身を潜めておこう…。
闇の集会とか、表現が陳腐過ぎてごめんなさい。ほぼ中学生並みのボキャブラリー。
音が大きすぎて、コードとか歌詞とか構成とか、よくわかりませんでした。そういうもの、コード進行とか、曲の構成とか、を超越していました。そんな些細なことよりも、彼らが作り出そうとしている「世界観」が大事。私のようなドゥームメタル初心者にさえ、異空間に来たような気分にさせることが肝心なのです。
また別の女性バンド。どんなギャルバンだろうと思っていたら、これがまたすごい。「前近代に農村部で理由なく殺された女性が、怨みを晴らすために墓場からよみがえった」的ワールド(想像です)。「墓場からよみがえる」モチーフは実は好き。ほとばしる日本独特の暗い情念。お経テイスト。怨み。死。オー、クールジャパン!外国人のお客さんも喜んでいました。ライブというのはバンドが作り出すテーマパークのようなものなのかも。
ライブで魔法にかけられる
ライブを見終わった後に、映画あるいはテーマパークのアトラクション後のように、頭がぼーっとして余韻が残ります。違う世界に旅してきたような感じです。
このライブでは「闇の祈祷集会」と「よみがえる死者の墓場」の異空間旅行に行ってきました!(連休最終日の空港でのインタビュー風。)それほどまでにドゥームメタルは世界観がハッキリしてます。
立場をかえて考えてみました。私達がブラジル音楽のライブをする時、お客さんにブラジルへの小旅行へ誘う力量が必要なのです。次なんのコードだっけ?とか、もう一回繰り返すんやったっけ?とか小さい事を気にしているようではダメなのです。私達は音楽と一体となり、完全なるブラジルの使者となって、お客さんにリオデジャネイロの海と風を感じてもらえるようにしなければなりません。ブラジルに行ったことないし、とかそういう話じゃないのです。そんなこと言ったら、彼らだって墓場からよみがえったことあるわけじゃないですから!
音楽のジャンルは違いますが、とても面白い体験をさせてもらいました。またドゥームメタルのライブに行って、今度は一緒に暴れてみたいです(!?)。