シベリア鉄道の音
単調な音に癒される
以前、ラジオを聞いていると、「シベリア鉄道の音をYouTubeで聴きながらお酒を飲むのが好き」と話す女性がいました。シベリア鉄道?一体どんなんだろう、と早速調べてみると、なんと10時間ずっとシベリア鉄道が走り続ける動画(Relaxing Train Journey)が出てきました。列車の通路と流れる窓の景色。『世界の車窓から』のように、行き合わせた人々のちょっとしたドラマなどなく、雪の中をひたすらガタンゴトン走っています。あの大陸のどこからどこまで走っているのでしょうか。
聴いていると、確かに心が安らぐのです。静かにずっと聴いていたくなります。こんな光景が目に浮かびます…コンパートメントの中は暖かく、目の前には祖父や祖母がいます。昔、国鉄の頃に売っていた温かいお茶(なんか病院にある道具みたいな容器に入ったお茶!ありましたよね?)が置いてあり、柿ピーもあります。毛布を顎のところまで引っ張ります。すると「寝てていいよ」と言われて目を閉じます…。
そんなノスタルジックな想像をしてみたり。(もしかして、あの世からのお迎えが来る時ってこんな感じなのかも!)
なぜ単調な音が心地よいのか
ノリの良い曲だとか、技術的に高度な曲だとか、凝った作りの曲だとか、そういう音楽が聴かれている一方で、こんな単調な音が心地よいのでしょうか。ガタンゴトンしか鳴ってないのです。心臓の音を連想させるから?自律神経の乱れを落ち着かせるから?雨音や遠くで鳴る雷の音なんかも不思議と落ち着きます。
でももし実際にシベリア鉄道に10時間乗ることになった若者がいたら、きっと彼はイヤホンでずっと音楽を聴いているでしょう。そして下車する時には、最近の曲はおろか過去10年間のヒット曲を全て制覇して、「この10時間、まんざら無駄ではなかったな」なんて思うに違いありません。シベリア鉄道に乗ってもいないのに、音を静かに聴いてノスタルジックな気分にひたる私。でも、日本酒でも飲みながら、昔出会った人達を思い出すのも悪くないかもしれません。